韓国訴訟 | |||||||||||
訴 訟 名 | 原告・請求人 | 被告・被請求人 | 事案 | 原告代理人 | 係 属 | 提訴控訴上告日 (訴状リンク) |
訴訟結果 (判決リンク) |
判決概要 | |||
1 | 強制預入金補償請求事件 | 軍政法令による強制預金者 | 大韓民国 | 詳細な事実関係は不明であるが、原告は1946年に米軍政が実施した日本円の強制預金(軍政法令57号)※注1)により日本円を預入れさせられた者であり、日韓会談が妥結し1966年に請求権資金法※注2)が制定されると、強制預金させられた日本銀行券は対日民間請求権に該当するとして国家による補償を請求したと思われる。 | ソウル民事地方法院 | ||||||
ソウル高等法院 | 1969 | 1970.6.17棄却 | |||||||||
大法院 | 1970.11.30棄却 | 請求権資金法は対日民間請求権は請求権資金から補償するとの原則を示したのみで、その基準・種類・限度等を具体的に定めた法律がまだ制定されていないので補償請求する法律上の方法がなく、原告の損害が対日民間請求権に含まれるとの立証もないとして棄却。(その後請求権申告法・請求権補償法が制定され、軍政法令57号による強制預金も補償対象となった。) | |||||||||
2 | 強制預入金補償請求事件(2次) | 軍政法令による強制預金者 | 大韓民国 | 詳細な事実関係は不明であるが、原告らは1946年に米軍政が実施した日本円の強制預金(軍政法令57号)※注1)により日本円を預入れさせられた者であるが、日韓会談が妥結し1966年に請求権資金法※注2)が制定されると、強制預金させられた日本銀行券は対日民間請求権に該当するとして国家による補償を請求したと思われる。 | ソウル民事地方法院 | ||||||
ソウル高等法院 | 1969 | 1970.6.5棄却 | |||||||||
大法院 | 1970.12.22棄却 | 請求権資金法は対日民間請求権は請求権資金から補償するとの原則を示したのみで、その基準・種類・限度等を具体的に定めた法律がまだ制定されていないので補償請求する法律上の方法がない原告の損害が対日民間請求権に含まれるとの立証もないとして棄却。(その後請求権申告法・請求権補償法が制定され、軍政法令57号による強制預金も補償対象となった。) | |||||||||
3 | 請求権関連法立法不作為違憲確認憲法訴願※注5) | 8.15以降の対日民間請求権取得者 | Aは中国漢口で事業をしていたが、1945年8月末に敗戦を知り、事業資産を9月初めに台湾銀行漢口支店から同福岡支店に送金した。しかしその後台湾銀行が閉鎖されて金員を引き出せなくなった。請求人はAからAの台湾銀行(その後身である日本貿易信用)に対する債権を譲り受けた。請求人は請求権資金法※注2)、請求権申告法※注3)、請求権補償法※注4)が補償の対象を1945年8月15日以前に生じた債権に限定している立法不作為の違憲確認を求めた。 | 朴元淳 外1名 | 憲法裁判所 | 1994.6.3 | 1996.10.4却下 | 憲法裁判所発足以前の基本権侵害についての請求期間は憲法裁判所構成後180日以内とされているところ、本件の請求はの基本権侵害は請求権3法が成立したときであり、憲法裁判所発足以前であるから、請求期間を徒過しているとして却下した。 ただし、本件の立法不作為は真正立法不作為であり、請求期間は徒過していないから本案について判断すべきであるという趣旨の、3名の裁判官の反対意見が付された。 |
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4 | 請求権関連法立法不作為違憲確認憲法訴願※注5) | 8.15以降の対日民間請求権取得者 | 請求人は旧満州の日本国所有の鉱山で3年間働いて得た日本円を1945年8月21日に旧満州安東(現丹東)所在の日本経営の銀行から日本の銀行に送金したが、その直後にその銀行が閉鎖されて金員を引き出せなくなった。請求人が、請求権資金法※注2)、請求権申告法※注3)、請求権補償法※注4)が補償の対象を1945年8月15日以前に生じた債権に限定している立法不作為の違憲確認を求めた。 | 李石淵 | 憲法裁判所 | 1994.9.27 | 1996.10.31却下 | 同上 | |||
5 | 被徴用負傷者立法不作為違憲確認憲法訴願※注5) | 強制徴用負傷者 | 請求権補償法※注4)が被徴用死亡者に30万ウォンの補償金を支給することのみを規定し、被徴用負傷者に対する補償を規定していない立法不作為の違憲確認を求めた。 | 김용균 | 憲法裁判所 | 1995.5.30 | 1996.11.28却下 | 同上 | |||
6 | 仲裁要請不履行違憲確認憲法訴願 | 在日韓国人被徴用戦傷者・同遺族 | 請求人らは軍属として負傷した在日韓国人らであるが、日本政府は国籍条項により障害年給の支給を拒否し、韓国政府は在日韓国人の問題は請求権協定で妥結していないとして補償措置から除外している。このように両国政府が補償を拒否しているのは、在日韓国人被徴用者の補償請求権が請求権協定で妥結したか否かについて韓日政府の意見が一致しないことに原因があるとして、請求権協定3条にもとづく仲裁回付により解釈の差異を解消するよう韓国政府に請願したが拒否されたため、このような公権力行使の不作為は違憲であることの確認を求めて憲法訴願を請求した。 | 林鍾仁 金焌坤 外5名 |
憲法裁判所 | 1998.6.22 | 2000.3.30却下 | 韓国政府は在日韓国人被徴用負傷者が適切な補償を受けられるように可能なあらゆる努力をして彼らを保護すべきであるが、仲裁回付という特定の方法により韓日間の紛争を解決しなければならないという憲法上の作為義務が韓国政府にあるとか、請求人にそのような作為を請求することができるとまでは解されないとして違憲確認請求を却下した。 | |||
7 | 補償金支給終結違憲確認憲法訴願※注5) | 対日民間請求権所有者 | 30年前に死亡した父親が日帝時代に発行された保険証券等を所持していたことを1999年になって知った請求人が、1982年12月31日に請求権協定関連法が廃止されて補償が終結したのは違憲であることの確認を求めた。 | 憲法裁判所 | 1999.7.2 | 1999.7.23却下 | 憲法裁判所発足以前の基本的人権侵害についての請求期間は憲法裁判所構成後180日以内とされているところ、本件の請求はこれを徒過しているとして却下。 |
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8 | 三菱徴用工訴訟 | 元三菱広島徴用工5名 | 三菱重工 | 徴用により三菱重工で労働に従事させられた原告らが、日本で国と三菱重工に対して賠償訴訟を提起し敗訴したが(日本訴訟41事件)、日本訴訟の最高裁係属中に三菱重工に対する同一の内容の請求を韓国の裁判所に提訴した。 | 李春熙
崔鳳泰 金美京 장영석 金晋局 |
釜山地方法院 | 2000.5.1 | 2007.2.2棄却 | 裁判管轄、旧三菱と被告の同一性等については原告の主張を認めたが、時効により請求を棄却した。 | ||
釜山高等法院 | 2009.2.3棄却 | 日本裁判の判決は韓国の公序良俗に反するものではないとして既判力を認め、これに反する原告の請求を棄却した。 | |||||||||
大法院 | 2012.5.24差戻 | 日本判決は韓国憲法の根本理念に反すること、時効援用は信義則違反であること、日韓請求権協定は植民地支配と直結した反人道的犯罪行為には適用されないことなどを理由として原判決を破棄し、原審に差し戻した。 | |||||||||
釜山高等法院 | 2013.7.30認容 | 被害者一人当たり8000万ウォンの損害賠償を認容した。 | |||||||||
大法院 | 係属中 | ||||||||||
9 | 遺骨引渡訴訟 | 被徴用(軍属)死亡者遺族5名 | 大韓民国 | 1948年2月及び5月に当時の朝鮮過度政府外務部釜山連絡事務所、臨時政府日本課に送還された遺骨の返還を求めた。 | 金焌坤 李春熙 崔鳳泰 吳忠賢 宋海翼 |
ソウル地方法院 | 2000.11.28 | 2002.6.5棄却 | 遺骨を被告が保管している証拠がないとして棄却。 訴訟の過程で返還されたのは遺骨ではなく位牌であることが判明したため原告らは控訴をせず、確定した。 |
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10 | 遺骨返還不作為憲法訴願※注5) | 同上 | 前記9事件原告らが日本から遺骨を受けとったのに遺族に返還せず、死亡事実さえ通知せず、遺骨返還を請求された後も何らの措置をとらなかった韓国政府の不作為が違憲であることの確認を求めた。 | 金焌坤 李春熙 崔鳳泰 吳忠賢 宋海翼 |
憲法裁判所 | 2002.4.1 | 2002.4.16却下 | 憲法訴願は他の全ての救済手段を尽くした後に認められる補充的手段であり、本件のように現に民事訴訟が進行中である場合には認められないとして却下した。 | |||
11 | 韓日会談文書公開訴訟 | 日本軍「慰安婦」勤労挺身隊、軍人・軍属・労務者等強制動員被害者、原爆被爆者、遺族等遺族100名 | 外交通商部長官 | 原告らは韓日会談関連会議録等の文書の公開を被告に請求したが、被告は本件文書は情報公開法」所定の「公開される場合…国家の重大な利益を害する虞れがあると認められる情報」であって非公開対象情報に該当するとして公開を拒否した。原告らは日韓請求権協定により原告らの損害賠償請求権が消滅したいう日本政府の主張の正否を判断するためには本件文書を通じて請求権協定の経緯などを検討する必要性があるとして拒否処分の取り消しを求めた。 | 金晋局 外一名 |
ソウル行政法院 | 2002.10. | 2004.2.13一部認容 | 一般請求権に関する文書についてのみ請求を認容した。 | ||
ソウル高等法院 | 2004 | 2005.1.18取下げ | 韓国政府(盧武鉉政権)は控訴を取り下げ、関連文書を全面公開し、公開後の措置を検討する民官共同委員会を開催し、民間共同委員会見解※注6)を発表した。 | ||||||||
12 | 新日鉄一次訴訟 | 元日鐵大阪・八幡・釜石製鉄所徴用工4名 | 新日鉄住金 | 徴用により日本製鉄で労働に従事させられた原告らが、日本で国と新日鉄に対して賠償訴訟を提起し敗訴したが(日本訴訟53事件)、日本訴訟敗訴確定後に新日鉄に対する同一の内容の請求を韓国の裁判所に提訴した。 | 張完翼 崔鳳泰 |
ソウル中央地方法院 | 2005.2.28 | ||||
ソウル高等法院 | 2009.7.16棄却 | 日本判決の既判力、旧日本製鉄と新日本製鉄の法人格同一性否定、消滅時効により原告らの請求を棄却した。 | |||||||||
大法院 | 2012.5.24差戻 | 日本判決は韓国憲法の根本理念に反すること、時効援用は信義則違反であること、日韓請求権協定は植民地支配と直結した反人道的犯罪行為には適用されないことなどを理由として原判決を破棄し、原審に差し戻した。 | |||||||||
ソウル高等法院 | 2013.7.10認容 | 原告一人当たり1億ウォンの損害賠償を認容した。 | |||||||||
大法院 | 係属中 | ||||||||||
13 | POSCO訴訟 | 徴用・徴兵被害者、同遺族 | Posco(旧浦項製鐵) | 被告はその設立に請求権資金を使用する等して請求権資金が原告らに帰属することを妨害したのみならず、日帝の侵略戦争に同調した日本製鉄を承継した新日本製鉄と技術提携・株式相互保有しており、新日鉄の株主として原告らの法益侵害問題が解決するように株主総会で発言するなど努力すべき憲法上、条理上の義務があるにもかかわらず、それを怠ったとして原告一人当たり100万ウォンの損害賠償を請求した。 | 崔鳳泰 吳政翰 外一名 |
ソウル中央地方法院 | 2006.5 | 2007.8.17棄却 | 原告の主張する被告の行為は不法行為に該当するとは言えないとして棄却。ただし「請求権資金によって設立された被告としては、少なくとも企業の社会的責任を果たすという側面で、強制徴用、賃金未払などの被害を被った人々のためにそれなりの努力をしなければならない」と付言した。 | ||
ソウル高等法院 | 2011.2.24棄却 | 被告は当時適法な手続により請求権資金から投資を受けすでに償還したとして棄却。但し、被告は国と協力して強制徴用被害者支援のための公的資金の拡充に努力すべきであると付言した。被告POSCOはこれを受けて「 対日抗争期強制動員被害調査および国外犠牲者等の支援に関する特別法 」※注8)改正により設立される強制徴用被害者支援財団に100億ウォンの拠出をすると表明した。 | |||||||||
14 | 元「慰安婦」憲法訴願※注5) | 日本軍「慰安婦」被害者64名 | 外交通商部長官 | 民官共同委員会見解※注6)において、日本軍「慰安婦」被害者問題は、日韓請求権協定の範囲外であるとされたが、韓国政府は日本政府との解釈の相違を解決するために日韓請求権協定第3条の定める外交経路による解決や仲裁手続を行おうとしなかった。これに対し、請求人らは韓国政府の不作為により憲法上の基本的人権を侵害されたとして、不作為の違憲確認を求めた。 | 車智勳 韓澤根 김진 沈載桓 張游植 元a京 金學雄 李民鐘 李錫兌 ゙永鮮 韓京洙 趙宰賢 朴柱民 金江苑 崔鳳泰 李春熙 吳忠賢 宋海翼 金仁錫 주경태 林成雨 權寧奎 |
憲法裁判所 | 2006.7.5 | 2011.8.30認容 | 憲法上国家は人間の尊厳を侵害された国民に対する保護義務を負っており、日韓請求権協定3条の手続により日本との解釈上の紛争を解決し、請求人らの人権を保護する作為義務があったが、政府がこの作為義務を怠ったため、申請人らは高齢にもかかわらず日本からの賠償を未だに受けられず基本的人権が侵害されたとして、申請を認容した。これについて、違憲確認にとどまらず韓国政府の補償義務も宣言すべきであるという1裁判官の補充意見、請求権協定3条の手続に入るか否かは政府の裁量事項であるとする3裁判官の反対意見があった。 | ||
15 | 被爆者憲法訴願※注5) | 原爆被爆者 2542名 |
外交通商部長官 | 民官共同委員会見解※注6)において、原爆被爆者問題は、日韓請求権協定の範囲外であるとされたが、韓国政府は日本政府との解釈の相違を解決するために日韓請求権協定第3条の定める外交経路による解決や仲裁手続を行おうとしなかった。これに対し、請求人らは韓国政府の不作為により憲法上の基本的人権を侵害されたとして、不作為の違憲確認を求めた。 | 崔鳳泰 李春熙 吳忠賢 宋海翼 金仁錫 林成雨 權寧奎 楊尙烈 |
憲法裁判所 | 2008.10.29 | 2011.8.30認容 | 憲法上国家は人間の尊厳を侵害された国民に対する保護義務を負っており、日韓請求権協定3条の手続により日本との解釈上の紛争を解決し、請求人らの人権を保護する作為義務があったが、政府がこの作為義務を怠ったため、申請人らは高齢にもかかわらず日本からの賠償を未だに受けられず基本的人権が侵害されたとして、申請を認容した。これについて、違憲確認にとどまらず韓国政府の補償義務も宣言すべきであるという1裁判官の補充意見、請求権協定3条の手続に入るか否かは政府の裁量事項であるとする3裁判官の反対意見があった。 | ||
16 | 慰労金等支給決定処分取消請求訴訟 | 元軍人遺族 | 太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者支援委員会 | 韓国政府は2007年12月に「太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者等支援に関する法律」※注7)を制定し、未払賃金等が本人に支払われず日本で供託されている被害者に対し供託金1円を2000ウォンに換算して慰労金を支給している。しかし原告はこの支援金が人道的支援ではなく補償に代わるものであるとすれば上記の換算率は現価とかけはなれており不当であるとして、支給決定処分の取り消しを求めた。 | 崔鳳泰 李春熙 吳忠賢 宋海翼 金仁錫 林成雨 權寧奎 楊尙烈 呂寅협 |
ソウル行政法院 | 2009.8 | 停止中 ※注9) |
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17 | 強制動員犠牲者支援法換算条項・日韓請求権協定等違憲堤請※注9) | ソウル行政法院 | 前記16事件の中で原告は日韓請求権協定と「太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者等支援に関する法律」※注8)が違憲であると主張し、憲法提請の申請をした。裁判所は日韓請求権協定は違憲とはいえないが、犠牲者支援法の換算条項は違憲の疑いがあるとの意見を付して憲法裁判所に違憲堤請※注9)をした。 | 崔鳳泰 李春熙 吳忠賢 宋海翼 金仁錫 林成雨 權寧奎 楊尙烈 呂寅협 |
憲法裁判所 | 2010.6.18 | 係属中 | ||||
18 | 三菱名古屋勤労挺身隊訴訟 | 元勤労挺身隊被害者4名、遺族1名 | 三菱重工 |
本件の原告らは12〜14歳のときに女子勤労挺身隊として軍需工場である名古屋の三菱重工道徳工場で強制労働に従事した被害者であり、日本訴訟59事件の原告らと同一である。原告らは国と三菱重工を被告として名古屋地裁に提訴し最高裁まで争って敗訴したが、2012年5月24日の三菱・新日鉄事件大法院判決後に三菱重工に対して同趣旨の訴訟を韓国の裁判所に提訴した。 | 林仙淑 金偵鎬 鄭彩雄 李尙甲 林台浩 金正熙 程仁基 金相訓 |
光州地方法院 | 2012.10.24 | 2013.11.1認容 | 原告らが動員当時小学校を卒業直後の年齢の女性であり、当時日本が批准していた強制労働禁止条約で絶対的に強制労働が禁止される対象であったことを強調し、被告に被害者一人当たり1億5000万ウォンの慰謝料の支払いを命じた。 | ||
光州高裁 | 2015.6.24認容 | 韓国法院の管轄、旧三菱と被告の同一性、日本判決の既判力、時効・除斥期間、請求権協定による権利放棄、韓国政府の慰労金支給による解決済み論など三菱側の全ての主張を退け、慰謝料の支払いを命じたが、認容額は一審より若干減額した。 | |||||||||
大法院 | 係属中 | ||||||||||
19 | 不二越勤労挺身隊訴訟 | 元勤労挺身隊被害者13名、亡被害者4名の遺族14名 | 不二越 | 本件の原告らは13〜14歳のときに女子勤労挺身隊として軍需工場である不二越富山工場で強制労働に従事した被害者であり、不二越二次訴訟(日本訴訟75事件)の原告らと同一である。原告らは富山地裁に提訴し最高裁まで争って敗訴したが、2012年5月24日の三菱・新日鉄事件大法院判決後に不二越に対して同趣旨の訴訟を韓国の裁判所に提訴した。 | 金美京 張完翼 |
ソウル中央地方法院 | 2013.2.14 | 2014.10.30認容 | 三菱・新日鉄事件大法院判決及び名古屋三菱女子勤労挺身隊に関する光州地方裁判所判決の論理を踏襲し、動員期間に応じて被害者1人当たり1億ウォン又は8000万ウォンの慰謝料の支払いを不二越に命じた。 | ||
ソウル高等法院 | 係属中 | ||||||||||
20 | 新日鉄二次訴訟 | 八幡製鉄所・釜石製鉄所元徴用工8名 | 新日鉄住金 | 被害者一人当たり1億ウォンの慰謝料を請求した。 | 張完翼 | ソウル中央地方法院 | 2013.3.11 | 2015.11.13認容 | 合計7億ウォンの支払いを命じた。 | ||
21 | 元「慰安婦」調停 | ナヌムの家居住日本軍「慰安婦」被害者12名 | 日本国 | 日本国に対し1人当たり1億ウォンの損害賠償を求めて調停申請した。裁判所は2015年6月15日と7月13日に調停期日を指定したが日本国側は出席しなかった。更に裁判所は調停に応じるか否かの照会書を日本政府に3回送ったが、日本政府はハーグ送達条約13条を引用して韓国裁判の主権は日本に及ばないとして照会書を全て返送した。韓国の調停法では調停不能の場合自動的に訴訟に移行するとされているので、近日中に訴訟に移行する見込みである。 | 金江苑 | ソウル中央地方法院 | 2013.8 | 係属中 | |||
22 | 被爆者損害賠償請求 | 韓国人原爆被爆者79名 | 大韓民国 | 2011.8.30憲法裁判所決定の後、韓国政府は日本政府に対し両者協議の開催を繰り返し申し入れているが、日本政府はこれに回答せず、問題は進展していない。そこで、原告らは、日本政府が協議に応じない以上、韓国政府には請求権協定第3条に規定する仲裁に回付する義務があるにもかかわらずこれを怠っているとして損害賠償を請求した。 | 崔鳳泰 | ソウル中央地方法院 | 2013 | 2015.6.26棄却 | 韓国政府の措置は不十分なものではあるが、憲法裁判所決定は一定期間外交上の経路による解決を追求した後に必ず仲裁回付せよと義務づけたものではなく、仲裁回付に進まない韓国政府の不作為は未だ不法行為とまではいえないとして請求を棄却した。 | ||
ソウル高等法院 | 係属中 | ||||||||||
23 | 遺族会集団訴訟(一次)※注10) | 元徴用工・遺族252名 | 三菱重工 住友重機 昭和電工 |
1人当たり1000万ウォンの損害賠償を求めた。 | ソウル中央地方法院 | 2013.12 | |||||
24 | 「帝国の慰安婦」出版差止仮処分事件 | ナヌムの家居住元「慰安婦」被害者9名 | 朴裕河 정종주 |
被告の著書「帝国の慰安婦」中の「慰安婦」被害者と大日本帝国軍人は同志のような関係であるなどの記載が原告らの名誉を毀損するものであるとして上記事件の書籍の出版禁止及び著者の「慰安婦」被害者らへの接近・取材の禁止を求めた。 | 梁承奉 홍장미 李相姬 朴甲柱 金e晶 鄭然順 白承憲 張完翼 金晋局 鄭載勲 朴玟貞 |
ソウル東部地方法院 | 2014.6 | 2015.2.17一部認容 | 34か所の表現の削除を命じ、接近・取材禁止は棄却した。現在韓国では当該部分を伏字にした書籍が販売されている。 | ||
25 | 「帝国の慰安婦」名誉棄損事件 | ナヌムの家居住元「慰安婦」被害者9名 | 朴裕河 정종주 |
24事件仮処分決定までに販売された同書籍について著書と出版社代表者に損害賠償を求めた。 | ソウル東部地方法院 | 2014.6 | 係属中 | ||||
26 | 遺族会集団訴訟(二次)※注11) | 元徴用工等920名 | 三菱、日産自動車等日本企業72社 | 1人あたり1000万ウォンずつを請求。(訴訟の進行にしたがい訴訟金額を1億ウォンずつに増やし、韓国裁判所で勝訴判決を受けた場合、米国裁判所で賠償執行手続きを行うと表明) | 장영기 | ソウル中央地方法院 | 2015.4.21 | ||||
注1 | 日本の新円切替の5日後である1946年2月21日朝鮮の米軍政庁は軍政法令57号を発し、一円以上の額面の日本銀行券を指定の金融機関に預金することを命じた。この預金は引出が禁止され、実質上の没収であった。請求権申告法・ | ||||||||||
請求権補償法では、韓国民の所持する日本銀行券に加えてこの預金も補償の対象とされた。 | →軍政法令57号 | ||||||||||
注2 | 1966年2月19日に制定。大韓民国国民が有する1945年8月15日以前までの対日民間請求権は日韓請求権協定による請求権資金の中から補償しなければならないと規定した。 | →請求権資金法 | |||||||||
注3 | 1971年1月19日制定。請求権資金により補償を受ける民間請求権の申告方法を定めた。この中で被徴用死亡者は申告対象とされたが、負傷者などの生還者の被害は申告対象から除外された。→請求権申告法 | →請求権申告法 | |||||||||
注4 | 1974年12月21日制定。請求権資金による補償の方法等を定めた。財産権については日本円1円に対して30ウォン、被徴用死亡者には1人30万ウォンの補償が行われることになった。 | →請求権補償法 | |||||||||
注5 | 公権力の行使又は不行使によって基本権を侵害された者は他の法的救済手続を尽くしたのちに憲法裁判所に直接救済を求めることができる(憲法裁判所法69条1項)。この手続を「憲法訴願」という。 | ||||||||||
注6 | 2005年8月26日公表。日韓請求権協定は韓日両国間の財政的・民事的債権債務関係を解決るためのものであり、日本の植民地支配賠償を請求するためのものではなく、日本軍慰安婦問題、サハリン同胞、原爆被害者問題は韓日請求権 | ||||||||||
協定の対象に含まれていないとした。請求権協定に関する韓国政府の正式見解である。 | →民官共同委員会見解 | ||||||||||
注7 | 2007年12月10日制定。強制徴用犠牲者に2000万ウォン、負傷者に程度に応じ2000万ウォン以下の慰労金、未収金1円あたり2000ウォンの支援金を支給するなどの支援策を定めた。 | ||||||||||
→太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者等支援に関する法律 | |||||||||||
注8 | 2010年3月22日制定。前記「 太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者等支援に関する法律」から慰労金・支援金条項を引き継ぎ、2011年8月4日の改正により被害者支援財団の設立が規定された(但し同財団は設立手続をめぐる紛糾のた | ||||||||||
め設立にいったていない)。 | → 対日抗争期強制動員被害調査および国外犠牲者等の支援に関する特別法 | ||||||||||
注9 | 韓国の一般的な裁判所として日本の地裁・高裁・最高裁に該当する地方法院・高等法院・大法院があるが、1987年制定の現行憲法で前記の他に違憲審査権を行使する憲法裁判所が設置された。一般の裁判所において立法・行政の | ||||||||||
違憲が争点となった場合、裁判所は当事者の請求又は職権で憲法裁判所に違憲・合憲の判断を求め(これを憲法提請という)、その結果が出るまで、本来の事件の手続を停止する。 | |||||||||||
注10 | 2014年6月7日、アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会等が「昨年12月に原告252名の集団訴訟を提訴した」などと発表したと報じられた。続報もなく訴訟資料も未見であり詳細は不明である。 | →提訴報道 | |||||||||
注11 | アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会は2015年4月21日に記者会見を行い、920人の原告、72社の日本企業被告の集団訴訟を提起したと発表した。本件についても続報がなく、訴訟資料も現在のところ見いだせず、詳細は不明である。 | ||||||||||
→提訴記者会見報道 |