□国家人権委員会(委員長:宋斗煥(ソン・ドゥファン))は、日帝強占期の日本企業の強制動員による被害を賠償する問題についての政府の発表に深い懸念を表明します。 そして、韓日両国政府と責任のある日本企業に必要な措置を促すため、次の声明を発表します。

□外交部は2023年3月6日、強制動員被害者らに対して責任のある日本企業の賠償責任について、日帝強制動員被害者支援財団が国内企業16社の拠出資金を活用して、代わって被害者に賠償する(「第三者弁済」)案を発表しました。政府の発表後、一部の強制動員被害者と遺族は加害者の謝罪と賠償参加のない第三者弁済は屈辱的だと抗議しています。

大法院は2018年、強制動員被害者の慰謝料請求権は1965年の韓日請求権協定の適用対象に該当しないとして、責任のある日本企業が慰謝料を賠償しなければならないと判決しました。しかし、日本政府は強制動員被害者の賠償問題は韓日請求権協定で解決したと主張し続け、当該日本企業も賠償金の支払いを拒否しています。  

□強制動員被害の賠償問題は単に金銭的な債権・債務の問題ではありません。人権侵害の事実を認めて謝罪することを通じた被害者の人間の尊厳の回復に関する問題です。日本企業と日本政府が日帝強占期の強制動員などの不法行為を認め、被害者とその家族に謝罪することは、被害回復と和解、韓日両国の未来志向的な協力関係構築のために不可欠です。

□しかし不幸にも、最近の数年間の日本政府と企業のこの問題に関する発言と行動は人権侵害行為の重大性を認識して責任を負う態度として望ましいものではありませんでした。韓日両国間の財政的債権・債務関係を政治的合意で解決するために締結された韓日請求権協定で被害者個人に対する賠償問題が解決されたと主張するのは非常に不適切です。

□国連総会が2005年に採択した「国際人権法の重大な違反行為と国際人道法の深刻な違反行為の被害者救済と賠償に対する権利に関する基本原則とガイドライン」によれば、賠償には「事実と責任の承認を含む公式謝罪」、「被害者に対する記念と追悼」、「すべてのレベルの教育における違反行為についての正確な説明」が含まれなければなりません。国連拷問防止委員会も2012年、上記ガイドラインをもとに一般論評第3号を通じて、被害者が救済過程に参加することが被害者の尊厳回復のために重要であるとして、「被害者中心アプローチ」を強調しました。

□韓国政府がこの問題の解決に関心を持って努力することは望ましいとはいえ、人権侵害行為を加害者が認めることもなく、謝罪もないまま、しかも第三者弁済の方式で賠償問題が解決されたと評価することは非常に懸念すべきことです。強制動員被害者が同意しない方法の賠償は国際人権基準が強調する被害者中心アプローチに反することでもあります。

□強制動員被害者に対する賠償問題は人間の尊厳を回復するための重要な問題であるため、すべての対策は被害者が受ける感情的、心理的被害を考慮しなければなりません。韓日両国政府と責任のある日本企業が被害者中心で賠償問題を解決するよう促し、韓国政府は強制動員被害者が責任のある日本企業と日本政府から当然に受けるべき事実の承認と謝罪を受けられるよう、引き続き努力することを要請します。

2023年3月7日
国家人権委員会委員長 宋斗煥

   

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