日本軍「慰安婦」韓国訴訟
日本軍「慰安婦」被害者が韓国裁判所で提起した日本国に損害賠償を請求する3件の訴訟はすべて原告の勝訴が確定した。(これらの訴訟の経緯と法的問題については拙文>>「主権免除の壁を突破した日本軍「慰安婦」被害者たち」参照)
●1次訴訟
主権免除に対する人権例外を認める判決がギリシャ、イタリアに続いてアジアにも現れた。このような国内判決の積み重ねが、国益の国際法から人権の国際法への発展を促し、日本軍「慰安婦」被害者だけでなく、国家によって人権を侵害された(日本を含む)世界の人々に人権回復のための新しい武器を与えることになるだろう。
●2次訴訟
本件の国際法的論点を網羅している。
日本の裁判所では被害者らの救済は不可能であることを説明した。
各国の裁判例を引用して本件に国家免除を適用することは韓国の憲法秩序に反すると主張した。
1次訴訟と2次訴訟は同一の請求原因を主張したが、4.21判決は1次訴訟の2021.1.8判決とは対照的に国家対国家の旧来の国際法観に立脚して日本の主権免除を認めた。
4.21判決に対する韓国民弁(民主社会のための弁護士の会)の糾弾声明
各国の国家実行(判例・立法)を数多く引用し、4.21判決をあらゆる論点から批判。また、正義連の尹美香代表が2015日韓合意の内容を事前に知っていたとする韓国外務部文書を検証し、それが虚偽であることを論証。
2012年ICJ判決後の各国の国家実行(判例・立法)など、日本で未紹介の事実が豊富に記載されている。
英国バーミンガム大学のAlexander Orakhelashvili教授による意見書 日本語訳 英語原文 韓国語訳。絶対免除主義が廃棄されてから、外国に主権免除を与えねばならないという一般原則は存在せず、仮に存在するとしても本件の日本の行為は強行規範に違反するので主権免除は認められないと主張。
日本の主権免除を否定した21年の1.8判決を日本政府は「国際法上ありえない判断」と非難した。しかしその後ブラジル、ウクライナ、英国で「ありえない判断」が続出した。ソウル高等法院はそれらの事実を淡々と積み上げて堅実な論理で日本国の主権免除を否定し、一審判決を破棄して日本国に賠償を命じた。
●3次訴訟