韓国憲法第5号(反民主行為遡及処罰改憲)

(太字はこの憲法で改正又は追加された部分。斜体は次の改正で削除された部分)



大韓民国憲法[一部改正1960.11.29憲法第5号]

前文

悠久の歴史と伝統に輝く我ら大韓国民は己未参一運動により大韓民国を建立し世界に宣布した偉大な独立精神を継承しここに民主独立国家を再建するにあたり正義人道と同胞愛により民族の団結を強固にし全ての社会的弊習を打破して民主主義諸制度を樹立し政治,経済,社会,文化の全ての領域において各人の機会を均等にして能力を最高度に発揮せしめ各人の責任と義務を完遂せしめし内には国民生活の均等な向上を期して外には恒久的な国際平和の維持に努力し我らと我らの子孫の安全と自由と幸福を永遠に確保することを決意して我らの正当かつ自由に選挙された代表によって構成された国会において檀紀4281年7月12日この憲法を制定する.

 

第1章 総綱

第1条 大韓民国は民主共和国である.

第2条 大韓民国の主権は国民にあり全ての権力は国民から生ずる.

第3条 大韓民国の国民とされる要件は法律により定める.

第4条 大韓民国の領土は韓半島とその付属島嶼とする.

第5条 大韓民国は政治,経済,社会,文化の全ての領域において各人の自由,平等と創意を尊重して保障し公共福利の向上の為これを保護して調整する義務を負う.

第6条 大韓民国は全ての侵略的な戦争を否認する.

国軍は国土防衛の神聖な義務を遂行することを使命とする.

第7条 批准公布された国際条約と一般的に承認された国際法規は国内法と同一の効力を有する.

外国人の法的地位は国際法と国際条約の範囲内において保障される.

第7条の2 大韓民国の主権の制約又は領土の変更をもたらす国家安危に関する重大事項は国会の可決を経た後に国民投票に付し民議院議員選挙権者3分の2以上の投票と有効投票3分の2以上の賛成を得なければならない.

前項の国民投票の発議は国会の可決の後1個月以内に民議院議員選挙権者50万人以上の賛成により行う.

国民投票において賛成を得られないときには第1項の国会の可決事項は遡及して効力を喪失する.国民投票の手続に関する事項は法律により定める.

 

第2章国民の権利義務

第8条 全ての国民は法律の下に平等であり性別,信仰又は社会的身分により政治的,経済的,社会的生活の全ての領域において差別を受けない.

社会的特殊階級の制度は一切認められず如何なる形態においてもこれを創設することはできない.

勲章とその他栄典の授与は専らその受ける者の栄誉に限られ如何なる特権も創設されない.

第9条 全ての国民は身体の自由を有する.法律によらなければ逮捕,拘禁,捜索,審問,処罰と強制労役を受けない.

逮捕,拘禁,捜索には裁判官の令状を要する.但し,犯罪の現行犯人の逃避又は証拠湮滅の虞があるときには捜査機関は法律の定めるところにより事後に令状の交付を請求することができる.

何人も逮捕,拘禁を受けるときには直ちに弁護人の助力を受ける権利とその当否の審査を裁判所に請求する権利が保障される.

第10条 全ての国民は居住と移転の自由を制限されず住居の侵入又は捜索を受けない.

第11条 全ての国民は通信の秘密を侵害されない.

第12条 全ての国民は信仰と良心の自由を有する.

国教は存在せず宗教は政治から分離される.

第13条 全ての国民は言論,出版の自由と集会,結社の自由を制限されない.

政党は法律の定めるところにより国家の保護を受ける.但し,政党の目的又は活動が憲法の民主的基本秩序に違背したときには政府が大統領の承認を得て訴追して憲法裁判所が判決によりその政党の解散を命ずる.

第14条 全ての国民は学問と芸術の自由を有する.

著作者,発明家と芸術家の権利は法律により保護する.

第15条 財産権は保障される.その内容と限界は法律により定める.

財産権の行使は公共福利に適合するようにしなければならない.

公共の必要により国民の財産権を収用,使用又は制限することは法律の定めるところにより相当な補償を支給することにより行う.

第16条 全ての国民は均等に教育を受ける権利を有する.少なくとも初等教育は義務的であり無償とする.

全ての教育機関は国家の監督を受け教育制度は法律により定める.

第17条 全ての国民は勤労の権利と義務を有する.

勤労条件の基準は法律により定める.

女子と少年の勤労は特別な保護を受ける.

第18条 勤労者の団結,団体交涉と団体行動の自由は法律の範囲内において保障される.

営利を目的にする私企業においては勤労者は法律の定めるところにより利益の分配に均霑する権利を有する.

第19条 老令,疾病その他勤労能力の喪失により生活維持の能力がない者は法律の定めるところにより国家の保護を受ける.

第20条 婚姻は男女同権を基本とし婚姻の純潔と家族の健康は国家の特別な保護を受ける.

第21条 全ての国民は国家各機関に対し文書により請願をする権利を有する.

請願に対し国家は審査する義務を負う.

第22条 全ての国民は法律の定める裁判官により法律による裁判を受ける権利を有する.

第23条 全ての国民は行為時の法律により犯罪を構成しない行為に対し訴追を受けず又同一の犯罪に対し再度処罰されない.

第24条 刑事被告人は相当な理由がない限り遅滞なく公開裁判を受ける権利を有する.

刑事被告人として拘禁された者が無罪判決を受けたときには法律の定めるところにより国家に対し補償を請求することができる.

第25条 全ての国民は20歳に達すると法律の定めるところにより公務員を選挙する権利を有する.

第26条 全ての国民は法律の定めるところにより公務を坦任する権利を有する.

第27条 ①公務員は主権を有する国民の受任者であり常に国民に対し責任を負う.国民は不法行為を行った公務員の罷免を請願する権利を有する.

②公務員の政治的中立性と身分は法律の定めるところにより保障される.

③公務員の職務上不法行為により損害を受けた者は国家又は公共団体に対し賠償を請求することができる.但し,公務員自身の民事上又は刑事上の責任が免除されるものではない.

第28条 ①国民の全ての自由と権利は憲法に列挙されないとの理由により軽視されてはならない.

②国民の全ての自由と権利は秩序維持と公共福利の為必要な場合に限り法律により制限することができる.但し,その制限は自由と権利の本質的な内容を毁損してはならず言論,出版に対する許可や検閱と集会,結社に対する許可を規定することができない.

第29条 全ての国民は法律の定めるところにより納税の義務を負う.

第30条 全ての国民は法律の定めるところにより国土防衛の義務を負う.

 

第3章 国会

第31条 立法権は国会が行う.

国会は民議院と参議院により構成する.

第32条 ①両院は国民の普通,平等,直接,秘密投票により選挙された議員により組織する.

②何人も両院の議員を兼ねることができない.

③民議院議員の定数と選挙に関する事項は法律により定める.

④参議院議員は特別市と道を選挙区として法律の定めるところにより選挙しその定数は民議院議員定数の4分の1を超過することはできない.

第33条 ①民議院議員の任期は4年とする.但し,民議院が解散されたときにはその任期は解散と同時に終了する.

②参議院議員の任期は6年とし,3年毎に議員の2分の1を改選する.

第34条 国会の定期会は毎年1回法律の定めるところにより集会する.

第35条 臨時緊急の必要があるときには大統領,民議院の在籍議員4分の1以上又は参議院の在籍議員2分の1以上の要求により両院の議長は国会の臨時会の集会を公告する,

第35条の2 民議院が解散されたときには解散された日から20日以後30日以内に民議院議員の総選挙を実施しなければならない.民議院が解散されたときには参議院は同時に閉会される.但し,国務総理は緊急の必要があるときには参議院の集会を要求することができる.

第36条 ①民議院は議長1人,副議長2人を選挙する.

②参議院は議長1人,副議長1人を選挙する.

③参議院議長は両院合同会議の議長となる.

第37条 ①各院は憲法又は国会法に特別な規定がない限りその在籍議員の過半数の出席と出席議員の過半数により議決を行う.

②国会の議決を要する議案に関し両院の議決が一致しないときには議案を民議院の再議に付して各院において議決されたもののうち民議院において在籍議員過半数の出席と出席議員3分の2以上の賛成で再度議決されたものを国会の議決とする.

③予算案に関し参議院が民議院と異なる議決をしたときには民議院の再議に付してその新たな議決を国会の議決とする.

④各院の議長は議決において表決権を有し可否同数である場合,決定権を有する.

第38条 国会の会議は公開する.但し,各院の決議により秘密会とすることができる.

第39条 国会議員と政府は法律案を提出することができる.

法律案と予算案はまず民議院に提出しなければならない.

参議院が国会の議決を要する議案を受けた日から60日以内に議決しないときにはこれを否決したものとみなす.但し,予算案についてはこの期間を20日とする.

第40条 国会において議決された法律は政府に移送され10日以内に大統領が公布しなければならない.

法律は特別な規定がないときには公布日から20日後に効力を発生する.

第40条の2 参議院は大法官,検察総長,審計院長,大使,公使その他法律により指定された公務員の任命に対する認准権を有する.国会の閉会又は休会中に前項の公務員が任命されたときには次に集会された参議院においてその事後認准を得なければならない.

第41条 国会は予算案を審議決定する.

第42条 国会は国際組織に関する条約,相互援助に関する条約,講和条約,通商条約,国家又は国民に財政的負坦を負わせる条約,立法事項に関する条約の批准と宣戦布告に対し同意権を有する.

第43条 国会は国政を監査するために必要な書類を提出させ証人の出席と証言又は意見の陳述を要求することができる.

第44条 国務総理,国務委員と政府委員は国会に出席し意見を陳述して質問に応答することができ国会の要求があるときには出席答弁しなければならない.

第45条 各院は議員の資格を審査して議事に関する規則を制定して議員の懲罰を決定することができる.

議員を除名するには各院の在籍議員3分の2以上の賛成を要する.

第46条 ①大統領,憲法裁判所審判官,裁判官,中央選挙委員会委員審計院長,その他法律が定める公務員がその職務遂行に関し憲法又は法律に違背したときには国会は弾劾の訴追を決議することができる.

②国会の弾劾訴追は民議院議員30人以上の発議が必要でありその決議は両院において各々その在籍議員過半数の賛成を要する.

第47条 弾劾訴追の決議を受けた者は弾劾判決があるときまでその権限行使が停止される.弾劾判決は公職から罷免するにとどまる.但し,これにより民事上又は刑事上の責任が免除されることはない.

第48条 国会議員は地方議会の議員を兼ねることができない.

第49条 国会議員は現行犯を除くほかは会期中その院の同意なく逮捕又は拘禁されず会期前に逮捕又は拘禁されたときにはその院の要求があれば会期中釈放される.

第50条 国会議員は国会内において発表する意見と表決に関し外部に対し責任を負わない.

 

第4章 大統領

第51条 大統領は国家の元首であり国家を代表する.

第52条 大統領が欠けたり事故により職務を遂行することができないときには参議院議長,民議院議長,国務総理の順位でその権限を代行する.

第53条 大統領は両院合同会議において選挙して在籍国会議員3分の2以上の投票を得て当選される.

1次投票において当選者がないときには2次投票を行い2次投票においても当選者がないときには在籍議員3分の2以上の出席と出席議員過半数の投票を得た者を当選者とする.

大統領は政党に加入することができず大統領職外に公職又は私職に就任し営業に従事することができない.

第54条 大統領は就任に際し両院合同会議において左の宣誓を行う.

「私は国憲を遵守し国民の福利を増進し国家を保衛し大統領の職務を誠実に遂行することを国民に厳粛に宣誓する」

第55条 大統領の任期は5年とし,再選により1回に限り重任することができる.

第56条 大統領が欠けたときには直ちにその後任者を選挙する.大統領の任期が満了するときにはその任期が満了する30日前までにその後任者を選挙する.

第57条 内憂,外患,天災,地変又は重大な財政,経済上の危機に際し公共の安寧秩序を維持するために緊急の措置をする必要があるときには大統領は国会の集会を待つ余裕がないときに限り国務会議の議決により財政上必要な処分をすることができる.

前項の処分を執行するために必要なときには国務総理は法律の効力を有する命令を発することができる.

第58条 第57条の処分又は命令は遅滞なく国会に報告しその承認を得なければならず民議院が解散されたときには参議院の承認を得なければならない.前項の承認を得られないときには処分又は命令はそのときから効力を喪失する.

第59条 大統領は国務会議の議決により条約を批准し宣戦布告と講和を行い外交使節を信任接受する.

第60条 大統領は国会に出席して発言し,又は書簡によって意見を表示する.

第61条 ①大統領は憲法と法律の定めるところにより国軍を統帥する.

②国軍の組織と編成は法律により定める.

第62条 大統領は憲法と法律の定めるところにより公務員の任免を確認する.

第63条 大統領は国務会議の議決により赦免,減刑と復権を命ずる.

一般赦免を命ずるには国会の同意を得なければならない.

赦免,減刑と復権に関し必要な事項は法律により定める.

第64条 大統領は国務会議の議決により戒厳を宣布する.

戒厳の宣布が不当であると認められるときは大統領は国務会議の議決に拘わらずその宣布を拒否することができる.

戒厳が宣布されたときには法律の定めるところにより国民の権利と行政機関又は裁判所の権限に関し特別な措置をすることができる.

第65条 大統領は国務会議の議決により勲章その他栄誉を授与する.

第66条 大統領の国務に関する行為は文書で行わなければならず全ての文書には国務総理と関係国務委員の副署がなければならない.軍事に関するものも同様である.

第67条 大統領は内乱又は外患の罪を犯したとき以外には在職中刑事上の訴追を受けない.

 

第5章 政府

第1節 国務院

第68条 行政権は国務院に属する.

国務院は国務総理と国務委員で組織する.

国務院は民議院に対し連帯責任を負う.

第69条 国務総理は大統領が指名し民議院の同意を得なければならない.但し,大統領が民議院において同意を得られなかった日から5日以内に再度指名せず,又は2回にわたり民議院が大統領の指名に同意をしないときには国務総理は民議院においてこれを選挙する.

前項の同意や選挙には民議院議員在籍過半数の投票を得なければならない.

大統領が国務総理を指名するときには民議院はその指名を受けるときから24時間以後48時間以内に同意に対するt表決をせねばならず第1項但書により国務総理を選挙するときにはその事由が発生した日から5日以内に選挙をしなければならない.

大統領は民議院議員総選挙後初めて民議院が集会する日から5日以内に国務総理を指名しなければならない.

国務委員は国務総理が任免し大統領がこれを確認する.

国務総理と国務委員の過半数は国会議員でなければならない.但し,民議院が解散されたときには例外とする.

国務委員の数は8人以上15人以内とする.

軍人は現役を退いた後でなければ国務委員に任命されることができない.

第70条 国務総理は国務会議を召集して議長となる.

国務総理は法律において一定の範囲を定めて委任を受ける事項と法律を実施するために必要な事項に関し国務会議の議決を経て国務院令を発することができる.

国務総理は国務院を代表し議案を国会に提出して行政各部を指揮監督する.

国務総理が事故により職務を遂行することができないときには法律の定める順位に従い国務委員がその権限を代行する.

第71条 国務院は民議院において国務院に対する不信任決議案を可決するときには10日以内に民議院解散を決議しない限り限り総辞職しなければならない.

国務院は民議院が条 批准に対する同意を否決し,又は新年度総予算案をその法定期日内に議決しないときにはこれを国務院に対する不信任決議とみなすことができる.

民議院の国務院に対する不信任決議は在籍議員過半数の賛成を得なければならない.

国務院に対する不信任決議案は発議されたときから24時間以後72時間以内に表決しなければならない.この時間内に表決されないときには不信任決議案は提出されないものとみなす.

国務院は国務総理が欠けたり民議院議員総選挙後初めて民議院が集会するときには総辞職しなければならない.

第1項と前項の場合,国務院は後任国務総理が選任されるときまで継続しその職務を執行する.

第72条 左の事項は国務会議の議決を経なければならない.

1.国政の基本的計画と政策

2.条約案,宣戦,講和その他重要な対外政策に関する事項

3.憲法改正案,法律案,国務院令案

4.予算案,決算案,財政上の緊急処分案,予備費支出に関する事項

5.臨時国会の集会要求に関する事項

6.戒厳案,解厳案

7.軍事に関する重要事項

8.栄誉授与,赦免,減刑,復権に関する事項

9.行政各部間の連絡事項と権限の画定

10.政府に提出又は回付された請願の審査

11.検察総長,審計院長,国立大学総長,大使,公使,各軍参謀総長その他法律により指定された公務員と重要国営企業の管理者の任免に関する事項

12.行政各部の重要な政策の樹立と運営に関する事項

13.民議院解散と国務院総辞職に関する事項

14.政党解散に関する訴追

15.その他国務総理又は国務委員が提出する事項

 

第2節 行政各部

第73条 ①行政各部の長は国務委員でなければならず国務総理の提請により国務総理が任免する.

第74条 行政各部長官はその坦任する職務に関し職権又は特別な委任により部令を発することができる.

第75条 ①行政各部の組織と職務範囲は法律により定める.

②前項の法律には警察の中立を保障するために必要な機構に関し規定を置かねばならない.

 

第6章 中央選挙委員会

第75条の2 選挙の管理を公正にするために中央選挙委員会を置く.

中央選挙委員会は大法官中から互選した3人と政党において推薦した6人の委員で組織し,委員長は大法官である委員中から互選する.

中央選挙委員会の組織,権限その他必要な事項は法律により定める.

 

第7章 裁判所

第76条 司法権は裁判官により組織された裁判所が行う.

最高裁判所である大法院と下級裁判所の組織は法律により定める.

裁判官の資格は法律により定める.

第77条 裁判官は憲法と法律により独立して審判する.

第78条 大法院長と大法官は裁判官の資格を有する者により組織される選挙人団がこれを選挙して大統領が確認する.

前項の選挙人団の定数,組織と選挙に関し必要な事項は法律により定める.

第1項以外の裁判官は大法官会議の決議に従い大法院長が任命する.

第79条 裁判官の任期は10年とし,法律の定めるところにより連任することができる.

第80条 裁判官は弾劾,刑罰又は懲戒処分によらなければ罷免,停職又は減俸されない.

第81条 ①大法院は法律の定めるところにより命令規則と処分が憲法と法律に違反するか否かを最終的に審査する権限を有する.

第82条 大法院は裁判所の内部規律と事務処理に関する規則を制定することができる.

第83条 裁判の対審と判決は公開する.但し,安寧秩序を防害し風俗を害する虞があるときには裁判所の決定により公開しないことができる.

第83条の2 軍事裁判を管轄するために軍法会議を置くことができる.但し,法律が定める裁判事項の上告審は大法院において管轄する.

軍法会議の組織,権限と審判官の資格は法律により定める.

 

第8章 憲法裁判所

第83条の3 憲法裁判所は次の各号の事項を管掌する.

1.法律の違憲審査

2.憲法に関する最終的解釈

3.国家機関間の権限争議

4.政党の解散

5.弾劾裁判

6.大統領,大法院長と大法官の選挙に関する訴訟

第83条の4 憲法裁判所の審判官は9人とする.

審判官は大統領,大法院,参議院が各3人ずつ選任する.

審判官の任期は6年とし,2年毎に3人ずつ改任する.

審判官は政党に加入し政治に関与することができない.

法律の違憲判決と弾劾判決は審判官6人以上の賛成を要する.

憲法裁判所の組織,審判官の資格,任命方法と審判の手続に関し必要な事項は法律により定める.

 

第9章 経済

第84条 大韓民国の経済秩序は全ての国民に生活の基本的需要を充足しうる社会正義の実現と均衡ある国民経済の発展を期することを基本とする.各人の経済上自由はこの限界内において保障される.

第85条 鉱物その他重要な地下資源,水産資源,水力と経済上利用することのできる自然力は法律の定めるところにより一定の期間その採取,開発又は利用を特許することができる.

第86条 農地は農民に分配しその分配の方法,所有の限度,所有権の内容と限界は法律により定める.

第87条 対外貿易は法律の定めるところにより国家の統制下に置く.

第88条 国防上又は国民生活上の緊急の必要により法律により特に規定する場合を除いては私営企業を国有又は公有に移転しその経営を統制又は管理することができない.

第89条 第86条の規定により農地を収用し前条の規定により私営企業を国有又は公有に移転するときには第15条第3項の規定を準用する.

 

第10章 財政

第90条 租税の種目と税率は法律により定める.

第91条 政府は国家の総収入と総支出を会計年度毎に予算に編成し毎年国会の定期会開会の初めに国会に提出しその議決を得なければならない.

特別に継続支出の必要があるときには年限を定め継続費として国会の議決を得なければならない.

国会は政府の同意なくは政府が提出する支出決算各項の金額を増加し又は新費目を設置することができない.

第92条 国債を募集し予算外の国家の負担となる契約をするには国会の議決を得なければならない.

第93条 予測することができない予算外の支出又は予算超過支出に充当するため予備費は予め国会の議決を得なければならない.

予備費の支出は次期国会の承認を得なければならない.

第94条 国会は会計年度が開始されるまでに予算を議決しなければならない.

国会が前項の期間内に予算を議決しないときには政府は国会において予算が議決されるときまで次の各号の経費を前年度予算に準じ歳入の範囲内において支出することができる.

1.公務員の俸給と事務処理に必要な基本的経費

2.法律により設置された機関と施設の維持費と法律上支出の義務ある経費

3.前年度予算において承認された継続事業費

前項の場合,民議院議員総選挙が実施されたときには政府は再度予算案を提出せねばならず国会は民議院が最初に集会する日から2月以内に予算を審議決定しなければならない.この場合,第39条 第2項但書の期間は10日とする.

第95条 国家の収入支出の決算は毎年審計院において検査する.

政府は審計院の検査報告と共に決算を次年度の国会に提出しなければならない.

審計院の組織と権限は法律により定める.

 

第11章 地方自治

第96条 地方自治団体は法令の範囲内においてその自治に関する行政事務と国家が委任する行政事務を処理し財産を管理する.地方自治団体は法令の範囲内において自治に関する規程を制定することができる.

第97条 ①地方自治団体の組織と運営に関する事項は法律により定める.

②地方自治団体の長の選任方法は法律により定められ,少なくとも市,邑,面の長はその住民が直接これを選挙する.

③地方自治団体には各々議会を置く.

④地方議会の組織,権限と議員の選挙は法律により定める.

 

第12章 憲法改正

第98条 ①憲法改正の提案は大統領,民議院又は参議院の在籍議員3分の1以上又は民議院議員選挙権者50万人以上の賛成により行う.

②憲法改正の提議は大統領がこれを公告しなければならない.

③前項の公告期間は30日以上とする.

④憲法改正の議決は両院において各々その在籍議員3分の2以上の賛成により行う.

⑤憲法改正が議決されたときには大統領は直ちに公布する.但し, 第7条の2の場合,国民投票により憲法改正が否決されたときにはその結果の判明後直ちに遡及して効力を喪失した旨を公布する.

⑥第1条,第2条と第7条の2の規定は改廃することができない.

 

附則

第99条 この憲法はこの憲法を制定する国会の議長が公布した日から施行する.但し,法律の制定なしには実現されない規定はその法律が施行されたときから施行される.

第100条 現行法令はこの憲法に抵触しない限り効力を有する.

第101条 この憲法を制定する国会は檀紀4278年8月15日以前の悪質な反民族行為を処罰する特別法を制定することができる.

第102条 この憲法を制定する国会はこの憲法による国会としての権限を行いその議員の任期は国会開会日から2年とする.

第103条 この憲法施行時に在職している公務員はこの憲法により選挙又は任命された者がその職務を継承するときまで継続し職務を行う.

 

大韓民国国会議長は大韓民国国会において制定された大韓民国憲法をこれに公布する.

檀紀4281年7月17日大韓民国国会議長李承晩

 

付則<檀紀4285年7月4日憲法改正><第2号,1952.7.7>

この憲法は公布した日から施行する.但し,参議院に関する規定と参議院の存在を前提にする規定は参議院が構成された日から施行する.

本法施行後参議院が構成されるときまでは両院合同会議において行う事項は民議院が行い参議院議長が行う事項は民議院議長が行う.

参議院が構成されるときまでは民議院の議決により国会の議決とする.

この憲法施行時の国会議員は民議院議員となりその任期は国会議員の任期の残期により終了する.

この憲法が施行された後初めて選挙された参議院議員は特別市と道毎にその得票数の順次に従い第1部,第2部,第3部に分ける.第1部の議員の任期は6年,第2部の議員の任期は4年,第3部の議員の任期は2年とする.票数が等しいときには年令順による.

 

付則<檀紀4287年11月27日憲法改正><第3号,1954.11.29>

この憲法は公布した日から施行する.

この憲法が施行された後初めて選挙された参議院議員は各選挙区毎にその得票数の順次に従い第1部,第2部に均分して第1部の議員の任期は6年,第2部の議員の任期は3年とする.得票数が等しいときには年令順による.

この憲法公布当時の大統領に対しては第55条 第1項但書の制限を適用しない.

 

付則<檀紀4293年6月15日憲法改正><第4号,1960.6.15>

この憲法は公布した日から施行する.

この憲法中参議院に関する規定は参議院が構成された日から施行する.

この憲法施行後参議院が構成されるときまでは民議院の議決により国会の議決とし参議院の権限に属する事項は民議院においてこれを代行する.この憲法施行当時の民議院議員の任期はこの憲法施行後初めて実施とされる民議院議員総選挙を実施する前日までとする.この憲法施行後最初の民議院議員総選挙はこの憲法施行日から45日以内に実施する.

この憲法施行後最初の参議院議員選挙はこの憲法施行日から6月以内に実施する.

前項の規定により選挙された参議院議員は各選挙区毎にその得票数の順次に従い第1部と第2部に均分し第1部の議員の任期は6年,第2部の議員の任期は3年とする.得票数が等しいときには年令順による.

この憲法施行後最初の大統領はこの憲法施行後初めて集会する民議院において集会する日から5日以内に選挙し,選挙については第53条の規定を準用する.

前項の規定により選挙された大統領は選挙された日から5日以内に国務総理を指名しなければならない.

この憲法施行当時の首席国務委員と国務委員はこの憲法による国務総理と国務委員とみなし前項の国務総理が選任されるときまでこの憲法による職務を執行する.

この憲法施行当時の公務員と国営企業体の管理者はこの憲法により任命されたものとみなす.

この憲法施行当時の大法院長と大法官の任期はこの憲法により大法院長と大法官が選任される前日までとする.

この憲法施行当時の大統領令はこの憲法による国務院令とみなす.

この憲法により憲法裁判所と中央選挙委員会が構成されるときまでは従前の規定による憲法委員会,弾劾裁判所と中央選挙委員会がその職務を行う.

この憲法施行後初めて選任される憲法裁判所審判官は選任者の定めるところに従い第1部,第2部と第3部に区分して第1部審判官の任期は6年,第2部審判官の任期は4年,第3部審判官の任期は2年とする.

この憲法施行当時の国会は檀紀4293年3月15日に実施された大統領,副統領選挙に関連し不正行為を行った者とその不正行為に抗議する国民に対し殺傷その他の不正行為を行った者を処罰又は檀紀4293年4月26日以前に特定地位にあることを利用し顕著な反民主行為を行った者の公民権を制限するため特別法を制定することができ檀紀4293年4月26日以前に地位又は権力を利用し不正する方法により財産を蓄積する者に対する行政上又は刑事上の処理をするために特別法を制定することができる.

前項の刑事事件を処理するために特別裁判所と特別検察部を置くことができる.

前2項の規定による特別法はこれを制定した後再度改正することができない.

 

付則<檀紀4293年11月29日公布><第5号,1960.11.29>

この憲法は公布した日から施行する.

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