強制動員問題資料集
●日本政府の見解(国会会議録検索システムへのリンク)
≫高島有終外務大臣官房審議官答弁(1991.3.26参議院内閣委員会)
日ソ共同宣言で放棄したのは外交保護権。国民のソ連に対する請求権は放棄していない。ソ連の国内法上の制度により請求できる。
≫柳井条約局長答弁(1991.8.27参議院予算委員会)
日韓請求権協定の「完全かつ最終的に解決」とは国家の外交保護権の相互放棄。個人の請求権そのものを消滅させたのではない。
≫柳井条約局長答弁(1991.12.13参議院予算委員会)
日韓請求権協定は個人の請求権そのものを消滅させたのではなく、その請求権について個人は裁判所に訴えを提起できる。
≫柳井条約局長答弁(1992.2.26衆議院外務委員会)
日韓請求権協定は個人の請求権を消滅させたのではなく、個人は裁判所に訴えを提起できる。その請求については裁判所が判断する。
≫柳井条約局長答弁(1992.3.9衆議院予算委員会)
慰謝料請求権は財産権措置法で消滅した「財産、権利及び利益」に含まれない。
≫工藤敦夫内閣法制局長官答弁(1992.3.9衆議院予算委員会)
外交保護権の放棄は個人の請求権の存否に影響を及ぼさない。損害賠償請求を認めるか否かは裁判所が判断する。
≫丹波實条約局長答弁(1993.5.26衆議院予算委員会)
AとB間に争いがあり、AがBに殴られた。AがBに賠償をしろと言っている間は請求権(財産権措置法で消滅しない)、裁判所の確定判決でBがAに債務を負っていることが認められると実体的な権利(財産権措置法で消滅する)となる。
≫海老原紳条約局長答弁(2001.3.22参議院外交防衛委員会)
(2000年の日本政府の解釈変更後の答弁)サンフランシスコ平和条約により個人の権利が消滅したのではないが、請求に応ずる義務がなくなり、その結果救済が拒否される。
≫河野太郎外務大臣,三上正裕国際局長答弁(2018.11.14衆議院外務委員会)
(大法院判決後の答弁)日韓請求権協定により個人の請求権が消滅したのではないが、請求に応ずる法的義務が消滅し、その結果救済が拒否される。
≫外務省調査月報(1994)
これらの条約において規定する「国家が国民の請求権を放棄する」という文言の意味は、…国内法上の個人の請求権自体を放棄するものではなく、国際法上、国家が自国民の請求権につき国家として有する外交保護権を放棄するものであるとの解釈も、日本政府がこれまで一貫して取ってきているところである。
●韓国政府の見解
≫
孔魯明
(
コンノミョン
)
外務部長官答弁(1995.9.20 統一外務委員会)
請求権協定により日本に対する政府レベルでの金銭的補償は一段落したが、個人的な請求権は消滅せず、政府は対日補償請求訴訟について国際社会の世論を喚起する努力とともに可能な支援を提供する。
≫
李廷彬
(
イヨンビン
)
外交通商部長書面答弁書(2000.10.25)
請求権協定は個人の請求権訴訟等裁判を提起する権利には影響を与えない。日本軍「慰安婦」問題等の非人道的行為や戦争犯罪は時効や国際条約により終了しないというのが最近の国際法的解釈傾向であり、韓国政府も日本政府に法的責任があるという立場である。
≫民官共同委員会見解(2005.8.26)
日本軍慰安婦問題等、日本政府・軍等の国家権力が関与した反人道的不法行為については、請求権協定により解決されたとはいえず、日本政府の法的責任が残っている。サハリン同胞、原爆被害者問題も韓日請求権協定の対象に含まれていない。韓国政府は受領した無償資金の中から相当金額を強制動員被害者の救済に使用すべき道義的責任がある
≫
文在寅
(
ムンジェイン
)
大統領就任100日記者会見(2017.8.17)
日本軍慰安婦問題は韓日会談当時知り得なかった問題であり、これが韓日会談で解決されたというのは正しくない。強制徴用者問題も両国間の合意が個々人の権利を侵害することはできない。両国の合意にもかかわらず、強制徴用者個人が三菱をはじめとする会社に対して持っている民事的な権利はそのまま残っている。
≫韓国政府の「強制動員問題解決案」に対する国家人権委員会委員長声明(2023.3.7)
大法院の確定判決の履行を拒否する日本企業の債務を韓国政府傘下の財団が肩代わりするという韓国政府の「解決案」について、韓国の国内人権機関である国家人権委員会は、不法行為を認め謝罪することが賠償責任を果たす上で不可欠であり、「解決案」は被害者中心アプローチにも反するとして、深い懸念を表明する声明を発表した。
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