7 三選改憲(1969)
1)三選改憲の経緯
朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は1965年の日韓基本条約、ベトナム戦争派兵によって日米から外資を引出し、輸出産業を集中的に育成して経済成長を成し遂げた。1967年の大統領選挙では朴正煕が野党の尹潽善に100万票以上の差をつけて当選し、国会議員選挙においても与党の民主共和党が3分の2以上の議席の獲得に成功した。この議席と国民的人気を背景に、朴正煕大統領は李承晩大統領と同様に憲法改正による政権の延長を図った。1969年9月、与党議員のみで国会本会議を開いて改憲案を議決し、10月の国民投票で可決された。
2)第六次改正憲法の特徴
李承晩(イ・スンマン)大統領の第二次改憲は憲法附則で李大統領のみに特権的に重任を認めるものであったが、今回は憲法本文の重任規制そのものを改正し、69条3項の「一回に限り」を「二回に限り」と改めた。
その他に国会議員の定数の増加や兼職禁止、大統領弾劾訴追の要件の強化の改正が行われたが、いずれも瑣末な事項であり、改憲の必要性にも疑問がある。重任規定のみの改正では余りにも露骨なため、あえて行った改正であったと思われる。